« モモの謎々「3人の偉大な支配者」 | トップページ | 死と別れから始まる「船出」の本 »

星から創る、『星くず色の船』

ドリームランドの船シリーズ」の一番最初にあげられた、『星くず色の船』。

Dsc_0468

絵に詳しい御方がいらしてTwitterとTumblrに書かれてた。
内田善美「かすみ草にゆれる汽車」からH・パイルの「不思議な時計」について
『星くず色の船』表紙のイラストは、
(ハワード)・パイルの「不思議な時計」の1枚からのものとのこと。


Wonderclock


その本のヒントが載っているのが『かすみ草にゆれる汽車』
Dsc_0516_3
の1コマ。

で、買いに行こうとする本屋さんの名前が、HOUSE OF DREAM 夢の家。
一番最初の作品の表紙が「不思議な時計」で、最後が「星の時計」って出来すぎだ。
ドリームランドの船シリーズ」は、内田善美さんが描かれた全部の作品のことだって、更に強く思った。

この『星くず色の船』。
表紙をめくった後に、イラストと言葉がある。

Dsc_0512


薔薇(ばら)()(はな)のほとりに
(かれ)は その()も優しく
(かた)って ()った



星をすくって(ふね)(つく)るのだと
(かた)って ()った



だから もう 地上(ここ)になく
宇宙(そら)()
宇宙(そら)()
はるかにはてない(ゆめ)()っている



だから いまも 地上(ここ)にいて
()ごと ()ごとに
(わたし)(ほし)を数えている


(ふか)きかなたの 天上(てんじょう)から
この地上(きし)
(ほし)くず(いろ)(ふね)が流れてくるのは
(かぞ)える(ほし)
()きる(ころ)だろうか


本編を読んで、この頁を読めば、かつての少女は天文学者になり、かつて宇宙飛行士になりたがった少年は、「星をすくって船を(つく)る」と語って、()ったことがわかる。

去る、を「いく」と読ませる意味。逝去の「去」。「逝く」の「いく」。

「はるかにはてない(ゆめ)()っている」

「ほし」を「ゆめ」と読ませる意味。
「星くず」は「叶わなかった夢」という意味だと思う。

天文学者の少女は「(ほし)」を数える。それ自体が「夢」だったから。

天上から星くず色の船が「地上(きし)」に流れてくる。「きし」。此の岸。此岸(しがん)。彼岸が、あちら側、で、こちら側、現世のこと。
現世へのお迎えの船。
数える星が尽きる頃。かつての少女が天文学者として、仕事を全うした頃、だろう。

星を集めて創られる船
病で、死の床で薄れていく意識の中、そう語ったように思う。

事故で一瞬に命を落とすのではなく、そんな亡くなり方。
最後のページが、和服なのは、寝巻なのではないかしら。
時への航海誌の飛鳥さんも、和服姿だったし。

Dsc_0513


最後のページが、どうしてファンタジーになっているのか。
Dsc_0521_3

Dsc_0521

「忘れないでね わたしのこと……」と恥ずかしそうに話す少女。

現実は、最初のページのように、

(かた)って ()った

のだと思う。

忘れることなく()った少年。

読者である、まだ幼い少女たちに、悲しい話をする必要もなかっただろうし。
年をとって、読み返していくうちに、わかる人もいるだろうし。

意外と重い話だった、と思うのです。

|

« モモの謎々「3人の偉大な支配者」 | トップページ | 死と別れから始まる「船出」の本 »

星の時計の内田善美」カテゴリの記事

コメント

こんにちは!また来ました。

そういえば、このコミックスのラストのお話「イブによせて」も同じベースのものになっているという事になりますね。読み返すと重なるものを感じました。

他の作品からもですけど、身近で夢を語りながら早くに逝ってしまった方がいるように思えてしまいます、、、。

では、また来ますね。

投稿: haruchonns | 2013/07/02 13:25

こんばんは。予感は合っておりましたです。
ダブルミーニングというものなのでしょうね。
これから「船出」という最初の本の4作品中1つには明らかな死、2つには死が隠されて、1つは(発表当時は)永遠の別れというのは……また、まとめてみます……。

投稿: eni | 2013/06/27 01:21

こんばんは。
スゴイ!スゴイです!

表面的なお話の裏に隠されていたものが!
これもやっぱりダブルミーニングというヤツですよね?

鳥肌立ちましたよ。
そうなんですよ、内田作品て常に「死」が纏わり付いている気がします。

初期作品からこんなスゴイお話描かれてたんですね。

投稿: haruchonns | 2013/06/26 23:54

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2740/57664782

この記事へのトラックバック一覧です: 星から創る、『星くず色の船』:

« モモの謎々「3人の偉大な支配者」 | トップページ | 死と別れから始まる「船出」の本 »